2025年度活動報告
活動概要
はじめに
 2002 年に始まった日中韓子ども童話交流事業は、すでに19 回目を迎え、3か国の青少年文化交流を代表する事業となりました。2024 年には「第9回日中韓サミット共同宣言」に盛り込まれ、日中韓文化交流年の重要事業のひとつにもなっています。3か国の民間交流の場として友好の種子を撒き、国際的視野をもって新時代を切り拓く子どもたち数千人を育んできたこの事業は、3か国で高く評価されています。
 2025 年8月19 日から25 日まで、第19 回「中韓日子ども童話交流2025」が中国の北京で開催されました。今回は中国関心下一代工作委員会が主催し、同事務局が運営を担当しました。「船」をテーマに、中国・日本・韓国の9歳から12 歳までの子どもたち100 名が集まり、絵本づくり、無形文化遺産の体験、科学技術の探究、文化の相互学習を通じて、国境を越えた友情の橋を築き、3か国の青少年交流に新たな1ページを加えました。また、2013年から2017年の参加経験者28 名も参加しました。
 この交流事業の中心である絵本づくりでは、童話先生や教育の専門家による指導のもと、「船:文化の融合と技術伝承の時空間の媒介」をテーマに、3か国の子どもたちが豊かな想像力を発揮して、ともに自分たちだけの絵本を作り上げました。登場人物の設定を考えてストーリーを練るところから、挿し絵を丁寧に色付けし、最後に自らの手で製本するところまで、子どもたちは熱心に取り組んでいました。意見を交わし、アイデアを分かち合い、言葉や文化の壁を乗り越えて、子どもならではの純真さと知恵で、ファンタジックで心温まる物語を生み出しました。最後の発表会では自作の絵本を誇らしげに披露し、自分たちが創作した物語を幼くも真摯な言葉で読み上げ、自ら描いて製本した絵本を通して、物語の背後に芽生えた友情と、交じり合う文化を垣間見せてくれました。
 交流期間中には中国の優れた伝統文化を体験する多彩なプログラムが用意されました。子どもたちは万里の長城(八達嶺長城)にのぼり、頤和園を見学して、中国の悠久の歴史と輝かしい文化を体感しました。北京展覧館の「如是莫高」敦煌芸術大展では、壁画の回廊で「船」や「飛天」の姿を探し、泥板画の制作や『海船遇難図』の模写を体験して、古代シルクロードにおける文明の交流を実感しました。また、中国書店では国の無形文化遺産である古書修復技術を見学し、木版印刷技術を体験しました。さらに3か国古書展や文化クリエイティブグッズマルシェを見学して、手工芸の魅力に触れました。これらの文化体験を通じて、子どもたちは視野を広げただけでなく、3か国の多様な文化の魅力を感じ取り、異なる文化への理解と尊重を深めました。
 国境を越えた温かい交流の中で、子どもたちは日々友情を深めていきました。国や言葉や文化的背景が違っていても、童話が共通の言葉になりました。絵本づくりでは互いに助け合って喜びを分かち合い、文化体験では手を取り合って探求し、ともに成長しました。子どもたちは純真な笑顔と温かい抱擁で国境を越え、深い友情を築きました。この貴重な友情は、子どもたちが成長していく中で忘れられない思い出となり、3か国の文化交流の生きた証しとなるでしょう。
 今回の交流活動は、3か国の子どもたちに才能を発揮し、意見交換する場を提供しただけでなく、子どもたちの心に友情と平和の種をまきました。絵本づくりや文化体験、友情を育む交流を通じて、子どもたちは互いの国に対する理解と親しみを深め、文化の違いを尊重し受け入れることを学びました。この子どもたちは将来、中国・日本・韓国の文化交流を担う「小さな使者」となり、童話の力で3か国の友情の橋を築き、ともにより美しい明日を描いていくと信じています。
 最後に、日本の日中韓子ども童話交流事業実行委員会、韓国教育部、そしてこの交流事業を支えてくださったすべての関係者の皆さまに心より感謝申し上げます。3か国の子どもたちが「船」を通して、これからも友情と平和の新たな物語を紡いでいくことを願っています。
  • 主催者:
    • 中国関心下一代工作委員会
  • 共催者:
    • 中国関心下一代工作委員会事務局、大韓民国教育部、日中韓子ども童話交流事業実行委員会、日中韓三国協力事務局(TCS)
開催のあらまし
  • 事業名称
    • 中韓日子ども童話交流2025
      • 交流テーマ:「船」
      • テーマソング:きみと同じ
  • 実施時期
    • 2025年8月19日(火)~25日(月)
  • 開催場所
    • 北京市
  • 主催
    • 中国関心下一代工作委員会<中華人民共和国>
  • 共催
    • 中国関心下一代工作委員会事務局<中華人民共和国>
    • 大韓民国教育部<大韓民国>
    • 日中韓子ども童話交流事業実行委員会<日本>
      • 構成団体
        • 子どもの未来を考える議員連盟、独立行政法人国立青少年教育振興機構(NIYE)
    • 日中韓三国協力事務局(TCS)
  • 協力
    • 中国宋慶齢青少年科技文化交流センター
    • 中国青少年科技教育工作者協会
    • 中国関心下一代工作委員会児童発展研究センター
    • 「中国火炬」雑誌社
    • 中国書店
  • 参加者
    • 児童〈小学校4~6年生〉:99名
      • 中国34名、韓国33名、日本32名
    • 参加経験者 28名
      • 中国8名、韓国10名、日本10名
    • 随行者 12名(中国、韓国、日本 各4名)
    • 日中韓三国協力事務局(TCS) 3名
    • グループリーダー・サブリーダー 20名
    • 講師 2名
    • 通訳 26名(韓国語、日本語 各13名)
    • 運営スタッフ (運営・救命救急・看護・記録など)
1週間のプログラム
1日目:8月19日
 中国宋慶齢青少年科技文化交流センターに児童と参加経験者が集合。オリエンテーションでグループ分け発表やTシャツ、帽子の贈呈。夜は科学アトラクション体験。
2日目:8月20日
 頤和園を見学。3か国の昔話読み聞かせ。開会式で児童と参加経験者の代表が抱負。歓迎夕食会で中国伝統文化芸術、武術パフォーマンスを鑑賞。
3日目:8月21日
 北京展覧館で「如是莫高」敦煌芸術大展を見学。壁画作家・張楠氏による敦煌壁画についての講座。「船」をテーマにした石版画づくりを体験。参加経験者はキャリア探求ワークショップに参加後、前門大街を見学。
4日目:8月22日
 世界文化遺産として知られる万里の長城の要所「八達嶺長城」へ訪城。童話先生・土居安子さんの指導のもと、絵本づくりを開始し、絵コンテやストーリーを制作。参加経験者も国連食糧農業機関を訪問後、絵本づくり開始。
5日目:8月23日
 機械、ロボット、宇宙などをテーマに、手で触れて学べるセンター 内展示スペース「創空間」で体験活動。絵本づくりは文章を書いて、絵を描いて色塗り。
6日目:8月24日
 中国書店で、古書修復技術などの講義や木版印刷体験。製本して絵本が完成し、児童と参加経験者一緒に発表会。夜はかくし芸大会。
7日目:8月25日
 閉会式。別れのあいさつ、来年開催の韓国へ「交流旗」の引き継ぎ。